春の多摩湖探訪 Part5(最終回)
-フィールドサイン/遙かなる展望-
写真・文 森の人 泉 健司

■フィールドサイン

ダム湖を巡る踏み分け道の脇の茂みに、ハトの羽が散乱しているのを見つけた。オオタカがここでお食事の準備をしたのだ。

ワシ・タカの仲間は鳥を捕らえたとき、食べる前に綺麗に羽をむしる習性がある。ここで下づくりを済ませて、どこかでゆっくり食事をしたに違いない。ノスリやオオタカはカラスよりちょっとばかり小さいので、獲物を横取りされそうになったり、暇なカラスたちにいろいろとちょっかいされることも多いのだが、たいていの場合は、相手にしないで逃げ回っている。

でも、これが、空腹なときはちょっと話が違うんだよな。迂闊にもカラスが悪戯を仕掛けると、いきなり反撃に出たりする。そんなときのカラスのあわてようと言ったら。事実カラスたちも結構食べられているようで、林の中に黒い羽の散乱しているのを、良く見かける。

 

たぶんオオタカが、ここでお食事の準備をしたのだ。


撮影:RDC-i700
 

いつもならこのあたりでリスを良く目撃するのだが、今日は見かけなかった。せっかく良いデジカメを借りたのにさ。世の中って、まあ、そんなもんなんだよね。その代わりと言っちゃあなんだけど、獣道を見つけた

道幅からして、リスやノウサギたちが利用している道のようだ。ここを毎日かよっている彼らの姿を想像すると、なんだかほほえましい。この他にも頭のないネズミの死体やら、色んな種や骨のかけらのまじった糞なんかも見つけたんだけれど、そんなのを見せられても困っちゃうだろうから、やめておこう。

自動シャッターなどを装備したカメラを据え付けたりトラップを仕掛けるときなどと例をあげたらきりがないけれど、動物たちに直接会えなくても彼らが残していった生活の痕(フィールドサイン)を読みとる能力は、野外調査には欠かせない。ささやかなフィールドサインからでも、彼らの行動を予測できないようでは良いフィールドワーカーにはなれないのだ。

 
ここを毎日かよっている彼らの姿を想像すると、なんだかほほえましい。

撮影:RDC-7S
 

■遙かなる展望

さてと、ずいぶん散歩が長引いてしまったね。日が暮れる前に帰るとしても、せっかくここまで来たんだから、ちょっとだけダムに寄っていこう。

村山貯水池(多摩湖)は人工湖だが、完成から70年以上の歳月が経過して、その姿は狭山丘陵の自然にしっかりと溶け込んでいる。何年か後に、こんどはこちらのダムの水が落とされて、堤体の補強工事が始まるはずだ。そのときは先に工事の終了した山口貯水池(狭山湖)が水鳥たちのよりどころになるのだろう。まあ、いろいろと気にかかることもあるけどさ。

 

村山貯水池 (多摩湖)

ダムの上からの眺め。こんな時ズームレンズは手軽で重宝する。めいっぱい広角にしなきゃあ、こんな広々とした風景は撮せないよね。

給水塔は、鉄筋コンクリート造りで昭和8年に完成したもの。屋根に冠されたドームとタイル貼りの外観で周囲の景観とみごとに調和している。
設計は玉置岩男。


撮影:RDC-i700
 
プロフィール

いずみ けんじ
泉   健司

http://www.biotope-garden.com/
ビオトープ・ガーデン提唱者、植物生態コンサルタント、 自然造形作家 1954年愛知県豊橋市に生まれる。
東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメント をはじめとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。 ビオトープ・ガーデンを提唱し、TVを初め様々なメディ アで紹介されている。またフラワーアレンジメントや自 然造形物を素材としたクラフト、コンピューターグラフ ィクス、環境音楽の制作など、多岐にわたる活動を行っ ている。
教育活動にも力 を入れており、東京バイオテクノロジ ー専門学校や東京医薬専門学校の非常勤講師も勤める。
農学修士。マミフラワーデザインスクール登録講師。
 

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