〜夏のキューケンホフ〜

取材・文 岩井京子


キューケンホフ公園はアムステルダムから南西に40キロほど離れたリッセにあります。このあたりは、オランダでも有数の球根栽培や切り花栽培地域で、公園の周辺にはその季節に応じて色とりどりの花が畑を埋め尽くしています。 51年前に開園したこの公園は、チューリップの花が咲く頃を中心に、毎年3月後半から5月後半までの2ヶ月間だけ公開されていましたが、開園50周年に当たる昨年からは夏の間もZomerhof(夏の庭園)と称して公開されるようになりました。
今年は8月3日から9月17日まで、「春」ほど一般に知られていないせいか、訪れる人もやや少な目ですが、変化に富んだ景観をゆったりと安らいだ気分で味わえます。

 

■Zomerhof(夏の庭園)として公開されたキューケンホフ公園

 
■ウォーターガーデン ■色とりどりの花のじゅうたん

園内は、樹木や池水とマッチさせたネイチャーガーデン、 噴水や水路とマッチさせたウォーターガーデン、クラシックガーデン、色とりどりの花で埋め尽くされた花壇、などなど雰囲気の異なるいくつもの要素がうまく配置されています。

 

■クラシックガーデン

■ネイチャーガーデン
 
遊びの要素として、常緑樹で作られた迷路、小動物の庭や遊具などもそれとなく設置され、ここかしこに現代オランダの彫刻家達の手になる作品がアートの心も満たしてくれます。一般のガーデニング愛好家のためにはインフォメーションデスクがいつでも栽培に関する質問に答えてくれます。

■園内には彫刻も

 

中心部分には、夏のあらゆる花をほぼ一週間毎に入れ替えて展示するパビリオンがあります。今年は、天候不順が影響したためか、野外はどこも花の咲き具合が今ひとつでしたので、今回はパビリオン内のトルコ桔梗にスポットを当ててご紹介しようと思います。会場には16種類ものトルコ桔梗が一堂に会して、その美しさを競っていました。

■色とりどりのトルコ桔梗


■「里山」をイメージした日本庭園

今年初めてお目見えしたのは、日本庭園です。オランダと日本の交流が始まってからちょうど400年目を記念して、オランダ中で記念行事が引きも切らずに行われていますが、こちらもその一環として、鳥取県のテーマパーク「とっとり花回廊」との協力で、日本人の心の原点「里山」のイメージを表現した、どこかとても懐かしい気分になるコーナーでした。

夏の庭園が終わると、キューケンホフはすぐに春の開園に向けて準備に入ります。3月からの2ヶ月の期間中、花が絶えないよう、見ごろを僅かづつずらすように球根を植え、芝生の補充など、根気の要る作業が始まるのです。来年はどんな趣向で私たちの目を楽しませてくれるのでしょう。

 

キューケンホフ公園MAP(カタログより抜粋しました)



学名はEustoma russellianum、和名はトルコギキョウ、別名でユーストマ、リシアンサスとも呼ばれます。ユーストマとはギリシャ語で良い口という意味です。私たち日本人にはトルコギキョウがいいですね。

トルコギキョウは、夏でも他の花より比較的寿命が長く、1本の茎につぼみが7〜10個もつくので、20〜30日の長期にわたって次々に花を楽しめ、夏の花として人気です。
でもその人気の秘密は、なんといってもうっとおしい夏を忘れさせてくれる、その涼しげな色にあります。最近、カラフルな色と花形のバリエーションがぞくぞくと登場するにいたり、ますます人気度が高まってきています。それらの新色や美しい覆輪の品種を最初に作り出したのは、実は日本人の育種家だそうです。それが世界のキュウケンホフにこんな風に展示されているなんてすばらしいことではありませんか。



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